トイレをリフォームする際には、国や自治体から助成金や補助金が受けられる場合があります。助成金・補助金は申請しないと受けられないため、利用できる制度がないか、情報収集が大切です。
この記事では、トイレリフォームに適用される助成金の傾向と一覧、リフォームの事例と注意点について解説しています。助成金制度を活用して、賢くトイレリフォームを実施しましょう。
トイレのリフォームに適用される助成金の傾向
トイレリフォームに適用される助成金には、バリアフリーや省エネ、耐震化を目的としたものなどがあります。ここではそれぞれの要件や、どのような工事が対象となるのか解説します。
傾向①|バリアフリーを目的とした工事
バリアフリーを目的とした工事に対して、国や自治体、介護保険によって実施される助成金制度があります。これは、要介護度1〜5の方や、高齢者、障害者の方が住む住宅のバリアフリー改修を支援する制度です。介護保険の場合は要支援1〜2の方も利用できます。
バリアフリーに対応する助成金制度は、数も多く充実しているため、利用しやすいといえるでしょう。具体的には、以下のような工事が対象です。
- 手すりの設置
- 段差解消
- 滑りにくい床材への変更
- 開き戸から引き戸への変更
車イスでも入れるように、床面積を広げるような工事を対象とするものもあります
傾向②|省エネ化を目的とした工事
近年、地球温暖化への対策として、省エネ化を促進する助成金制度が増えています。トイレリフォームにも省エネ化を目的とした工事に対して、国や自治体が実施する助成金制度があります。省エネ化を目的とした工事の例は以下の通りです。
- 一般的なトイレから節水型トイレへの交換
- 省エネタイプの照明器具への交換
節水トイレの定義は法律では定められていないため、それぞれの助成金制度ごとの規定を確認することが必要です。
傾向③|耐震化を目的とした工事
近年の地震の増加への対策として、耐震化を目的とした工事に適用される助成金制度もあります。耐震化を目的とした工事は、以下のような例が挙げられます。
- 耐震性の高いトイレへの交換
- 壁の補強工事
関東など地震が多い地域では、耐震化助成金制度が充実している傾向があります。国の制度のほか、自治体独自の制度も利用できないか、チェックしてみましょう。
対象となるトイレリフォームの事例
トイレリフォームで助成金が活用できる工事にはどのようなものがあるのでしょうか。ここでは、助成金が通りやすい工事を具体的に解説します。
事例①|節水型のトイレへのリフォーム
節水型トイレは、従来のトイレよりも水の使用量を大幅に削減でき、省エネに貢献する商品です。助成金制度を利用することで、節水型トイレへの交換費用の軽減が可能です。
地球温暖化対策の一環として、省エネに対応する助成金や補助金施策が続々と出ています。
そのため、節水型トイレへの交換は、助成金制度が利用できる可能性が高い工事といえます。
事例②|和式から洋式トイレへの変更
和式から洋式トイレに変更する工事も、助成金の活用がしやすいリフォームです。高齢者や体が不自由な方にとって、和式トイレは立ち座りが困難な場合があります。そのため洋式トイレへの変更は、バリアフリー化だけでなく、介護予防にも効果的です。
和式から洋式トイレへの変更は、介護に役立つ助成・補助金制度を多数検討できるため、着手しやすい工事の一つです。
事例③|手すりの設置
転倒を防止するために、トイレの手すりの設置が推奨されています。高齢者などがトイレの中で体調が悪くなり、動けなくなるケースは少なくありません。特に、立ち座りが困難な方や、バランス感覚が不安定な方にとって、手すりは重要な安全対策となります。
転倒して打撲や骨折、脳出血などにならないように、事前の備えが大切です。転倒を防ぐためのバリアフリー化や手すりをつける工事は、介護における事故防止につながるため、助成金を活用してください。。
事例④|扉を開き戸から引き戸へ交換
トイレの扉は開き戸(ドア)になっていることが多く、引き戸に変更するリフォームも増えています。引き戸は、開き戸よりもスペースを取らず、スムーズに開閉できる点がメリットです。
引き戸は軽い力で開き、開いた状態で固定できるので、車いすの方や歩行が困難な方にとっても使い勝手が良くなります。介護する人も一緒に入りやすいため、介助もしやすくなります。高齢者人口がますます増える中で推進される工事の一つですので、積極的に助成金を活用できるでしょう。
事例⑤|トイレの室内スペースを拡張
トイレの面積を増やす拡張工事も助成金が受けられる可能性があります。トイレの室内スペースを拡張することで、車いすでの移動や介助がしやすくなるからです。また、トイレが広く感じられることで、快適性も向上します。
トイレを居心地や清掃性が良い場所にしておくことで、高齢者本人も介助する家族も負担が軽減されます。このような高齢者の介護に役立つバリアフリー改修は、助成金を活用できる工事の一つです。
トイレのリフォームに出る助成金一覧
ここでは実際の助成金制度の事例を紹介します。助成金制度の中には、省エネ化とバリアフリー化の両方に適応されるなど、複数の目的に対応しているものもあります。自治体によって支援内容はさまざまですので、居住地の市役所のホームページなどで調べてみてください。
助成金や補助金は、各事業の予算を超え次第打ち切りになる可能性もあります。詳しくは、各助成金の公式HPをチェックしてください。
助成金名 | 内容 | 助成金額 | 対象者 | 対象工事 | 申請窓口 | 備考 |
長期優良住宅化リフォーム推進事業 | 長期優良住宅に認定された住宅のリフォームに対して補助金を支給 | 最大60万円 | 長期優良住宅の認定を受けた住宅の所有者 | 省エネ性能や耐震性能の向上、バリアフリー化など | 各都道府県の住宅局 | 長期優良住宅への認定が必要 |
子育てエコホーム支援事業 | 子育て世帯が省エネ性能やバリアフリー性能の高い住宅を取得・リフォームする際に補助金を支給 | 最大100万円 | 子育て世帯(3歳未満の子供を養育している夫婦等) | 省エネ改修(断熱改修、省エネ設備の設置等)、バリアフリー改修(手すりの設置、段差解消等) | 各都道府県の担当窓口 | |
川崎市バリアフリー改修等助成金 | 要介護度1~5の方、または65歳以上の方で、住まいのバリアフリー改修を行う方に助成金を支給 | 最大20万円 | 要介護度1~5の方、または65歳以上の方 | トイレの洋式化、手すりの設置、段差解消など | 川崎市役所 福祉保健局 高齢福祉課 介護支援係 | 介護保険住宅改修費との併用は不可 |
横浜市高齢者等住宅改修費助成金 | 要介護度1~5の方、または65歳以上の方で、住まいのバリアフリー改修を行う方に助成金を支給 | 最大20万円 | 要介護度1~5の方、または65歳以上の方 | トイレの洋式化、手すりの設置、段差解消など | 横浜市役所 福祉生活サービス部 高齢福祉課 介護支援係 | 介護保険住宅改修費との併用は不可 |
さいたま市高齢者等住宅改修費助成金 | 要介護度1~5の方、または65歳以上の方で、住まいのバリアフリー改修を行う方に助成金を支給 | 最大20万円 | 要介護度1~5の方、または65歳以上の方 | トイレの洋式化、手すりの設置、段差解消など | さいたま市役所 福祉保健局 高齢福祉課 介護支援係 | 介護保険住宅改修費との併用は不可 |
東京都既存住宅省エネ改修促進事業 | 都内に居住する方が、既存住宅を省エネ性能の高い住宅に改修する場合に補助金を支給 | 全体改修:最大50万円 | 都内に居住する個人または法人 | 部分改修:高断熱窓・ドア、断熱材、設備機器等の省エネ性能向上のための改修工事 | 各都区の住宅政策課 |
【政府】長期優良住宅化リフォーム推進事業
「長期優良住宅化リフォーム推進事業」は、国が行う助成制度で、全国どこに住んでいても対象であれば申請可能です。
- 名称: 長期優良住宅化リフォーム推進事業
- 内容: 長期優良住宅に認定された住宅のリフォームに対して、最大60万円の補助金を支給
- 助成金額: 最大60万円
- 対象工事: 省エネ性能や耐震性能の向上、バリアフリー化など
- 申請窓口: 各都道府県の住宅局
対象となる工事は省エネ性能・耐震性能の向上やバリアフリー化など幅広く、戸建て・集合住宅のどちらであっても申請できます。補助が受けられるのは、対象となる工事総額の3分の1までです。長期優良住宅の認定申請や詳しい要件については各都道府県の住宅局にお問い合わせください。
詳しくはこちら:令和6年度 長期優良住宅化リフォーム推進事業
【政府】子育てエコホーム支援事業
「子育てエコホーム支援事業」も国が行う助成金制度です。物価高騰の影響を受けやすい子育て世帯や若者夫婦世代を支援するとともに、省エネ化の推進を目的としています。
- 名称:子育てエコホーム支援事業
- 内容:子育て世帯が省エネ性能やバリアフリー性能の高い住宅を取得・リフォームする際に、最大100万円の補助金を支給する政府の制度
- 助成金額:最大100万円
- 対象工事:省エネ改修(断熱改修、省エネ設備の設置等)、バリアフリー改修(手すりの設置、段差解消等)
- 申請窓口:各都道府県の担当窓口
リフォームで申請する際は、登録事業者による工事であることが必要です。また、リフォーム工事内容によって補助される額が変わります。
詳しくはこちら:子育てエコホーム支援事業|国土交通省
【地方自治体】川崎市バリアフリー改修等助成金
「川崎市バリアフリー改修等助成金」は、高齢者などの住宅改修に対して助成が受けられる制度です。対象となるのは、介護保険で要介護1〜5と認定されている方、または65歳以上の方が住まいをバリアフリー改修する工事です。
- 名称: 川崎市バリアフリー改修等助成金
- 内容: 要介護度1~5の方、または65歳以上の方で、住まいのバリアフリー改修を行う方に助成金を支給
- 助成金額: 最大20万円
- 対象工事: トイレの洋式化、手すりの設置、段差解消など
- 申請窓口: 川崎市役所 福祉保健局 高齢福祉課 介護支援係
【地方自治体】横浜市高齢者等住宅改修費助成金
横浜市にも高齢者などの住宅改修を助成する制度があります。こちらも介護保険で要介護1〜5と認定されている方、または65歳以上の方が自宅をバリアフリー化する工事が対象です。
- 名称: 横浜市高齢者等住宅改修費助成金
- 内容: 要介護度1~5の方、または65歳以上の方で、住まいのバリアフリー改修を行う方に助成金を支給
- 助成金額: 最大20万円
- 対象工事: トイレの洋式化、手すりの設置、段差解消など
- 申請窓口: 横浜市役所 福祉生活サービス部 高齢福祉課 介護支援係
詳しくはこちら:介護保険の住宅改修費について|横浜市
【地方自治体】さいたま市高齢者等住宅改修費助成金
さいたま市にも川崎市や横浜市と同様の高齢者向けの住宅改修費助成制度があります。
- 名称: さいたま市高齢者等住宅改修費助成金
- 内容: 要介護度1~5の方、または65歳以上の方で、住まいのバリアフリー改修を行う方に助成金を支給
- 助成金額: 最大20万円
- 対象工事: トイレの洋式化、手すりの設置、段差解消など
- 申請窓口: さいたま市役所 福祉保健局 高齢福祉課 介護支援係
詳しくはこちら:介護予防高齢者住環境改善支援事業について – さいたま市
助成金を利用する際の注意点
助成金を利用する際には以下のような点に注意が必要です。リフォーム計画を立てる前にこれらの注意点を知っておきましょう。
注意点①|対象となる工事や申請条件は、制度によって異なる
助成金制度には様々な種類があり、それぞれ対象となる工事や申請条件は異なります。例えば、トイレのリフォームであれば、「バリアフリー化を目的とした助成」と「省エネ化を目的とした助成」は別制度です。
制度を利用する前に、必ず詳細情報を確認し、自身の目的や状況に合った制度を選択することが重要です。
注意点②|受付が締め切られる場合がある
助成金制度は、予算の額が決められており、上限に達すると終了となるケースが大半です。そのため、申請が集中すると、早々に受付が締め切られる場合があります。特に人気のある制度などは、早めに締め切られる可能性が高いため、注意が必要です。
助成金や補助金は、年度ごとに予算が組まれるため、ほとんどの制度は4〜5月に受付が開始されます。制度を利用したい場合は早めに行動することをおすすめします。
注意点③|登録業者に依頼しなければ助成金の対象外に
助成金制度によっては、登録業者が指定されていることがあります。この場合は、制度に登録した業者に工事を依頼しなければ、助成金の対象とならないため、注意が必要です。懇意にしている業者がいても、制度の要件である登録業者に任せなければなりません。
リフォーム業者を選ぶ前に、必ず各制度のホームページなどで登録業者のリストを確認し、その中から選び依頼することが必要です。
注意点④|見積書などの書類を用意する必要あり
助成金制度を利用するには、決められた申請書類の提出が必要になります。申請書類には、見積書や工事完了報告書などの添付書類が求められるため、きちんと作成してもらい、揃えておきましょう。
スムーズに申請を行うために、これらの書類は早めに準備しておくことが大切です。必要となる書類は制度ごとに異なりますので、あらかじめ確認しておきましょう。
まとめ
トイレリフォームには活用できる助成金制度が多々あります。助成金が利用できれば、リフォーム費用の負担が軽減され、より充実した工事も可能です。省エネやバリアフリーを目的としたリフォームには特に多くの制度が用意されているため、利用できる可能性が高いといえます。
助成金を申請するためには、制度ごとにさまざまな要件があるため、活用できるものを探して情報を集める必要があります。利用できる制度をうまく活用し、賢くトイレリフォームを実現しましょう。
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